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東京マリーゴールド
ストーリー サーキット場でのデートを最後に、21歳のエリコ(田中麗奈)はつきあっていた彼と別れた。「さびしくなんてないわよ。ひとりでいるの、けっこう好きだから」彼の手前そんなふうに強がってはみたものの、恋人のいない毎日はやっぱりむなしい。真っ黒になりながら街中を走り回るバイク便からきれいなオフィスでの優雅な事務に仕事を180度変えてみても、オシャレな代官山や表参道であれこれ目移りしながらショッピングしてみても、退屈なのは変わらない。そんなふうに空虚さと物足りなさをもてあましながら暮らしていたエリコに、久しぶりに恋の予感が訪れた。エリートサラリーマンとの合コンで出会ったタムラ(小沢征悦)だ。せっかくの合コンだというのに無口で、カラオケではいきなり真剣に演歌を歌ってしまうタムラ。その不器用でちょっとヘンなところがエリコはすごく気になった。数日後、エリコがゲートに誘うと、タムラは喜んで応じた。ところが恵比寿の写真美術館でのテートの最中、タムラはさりげなくショッキングな事実をエリコ告げる。「恋人はいるよ。今アメリカに留学中なんだ」。気の強いエリコはとっさに「恋人がいる人を誘ったりして悪かったわ」などと平静を装ったが、"それならなんで携帯の番号を教えてくれたわけ?デートに来るわけ?"と心の中では愕然とする。タムラの悪気のなさに余計にショックを受けて呆然としながら帰ると、家では母の律子(樹木希林)がアトリエで彫刻を作っていた。「作っているとね、途中で必ず見えなくなるときがあるのよね・・・」という律子の言葉に、エリコは何も見えない自分の心の中を思わずのぞきこんだ。このこと以来タムラのことはあきらめかけていたのに、数日後またエリコに運命のいたずらがおこってしまった。下北沢の小劇場で、偶然タムラと再会したのだ。無邪気に笑いなから芝居を見るタムラを見るうちに、エリコは自分の本当の気持ちに気づく。「やっぱり彼が好き」そう思うと、タムラに彼女がいることなどは気にならなくなった。そしてまたふたりはデートするようになった。休日の静かな駒沢公園、懐かしい風情の深川不動、西麻布のおしゃれなバー…さまざまな表情を持つ東京中を歩きながらいろんな話をしてお互いのことを深く知るにつれ、タムラを想う気持ちをおさえきれなくなったエリコ。ある時、思いあまったエリコはとうとうタムラに告げてしまう。「彼女がアメリカから帰ってくるまでの1年間だけでいいから、わたしとつき会って」。それがどんなにつらいことになるかも考えずに・・・。1年だけという期間限定、しかも彼女の影かちらちらと見えるような不安定は関係でも、ふたりで過ごす時間はエリコにとってはとても楽しく貴重なものだった。しかし残り時間は確実に少なくなっていく。タムラの存在はエリコのなかでどんどん大きくなってくるのに、タムラはニ人の女の間で揺れるそぶりもなく淡々と毎日を過ごしている。彼が自分のものにならなし、彼の心が見えないということが、こんなにつらいなんて。思い通りにならない恋に疲れたエリコは、庭を眺めながら、実を結んで1年で枯れるフレンチ・マリーゴールドに、自分のむなしく刹那的な1年間の恋を重ね合わ
せてせつなく思うのだった。それでもあきらめきれはいエリコは、あくまで彼女と別れようとしない頑ななタムラと不毛な会話を繰り返し、疲れ果てボロボロになっていた。そんなとき、エリコのもとに中学の先輩・宮下(斉藤陽一郎)か1本のビデオテープが届く。何気なく見たそのビテオの中には、数ヵ月前にエリコが出演した野球用品のCMが入っていた。映っているのは、タムラと出会う前の、芸妓姿で力いっぱいボールを投げている元気な自分。それを見るうち、エリコの中で何かが変わった。エリコはようやく決心しようとしていた。

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キャスト 田中麗奈、小澤征悦、斉藤陽一郎、小林沙世子、長曽我部蓉子、螢、石田ひかり、寺尾聰、樹木希林
三輪明日美、辻脩人、康すおん、井川修司、渡辺香奈、JACK WOODYARD、小野麻亜矢、菅原香織
脚本 市川準
原作 一年ののち(『東京小説』に収録)
公開日 2001年

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